毎年、
除夜の鐘と共に、電話をくれるひとがいる。
今年もまた、
鐘の音とともに、電話が鳴った。
わたしたちは、
もちろんそれが誰なのかわかった。
電話口に向かいながら、
受話器の向こうのあのひとが、ひとりじゃないことを祈った。
「あけましておめでとう」
懐かしい声が聞こえてくる。
そしてほんの数分、もどかしく会話をして、電話を回した。
どんな毎日を送っているのだろう。
足が痛いと言う。
痛くて歩けないと言う。
そんな足で、毎日ひとりでどんな生活をしているのだろうか。
私の知っているあのひとは、
周りにはいつもたくさんのひとがいた。
私もそのひとりだった。
会いに行こうか、桜の咲く頃に。
あのひとの愛するひとたちを連れて。
いや、ひとりでだっていい、
あのひとが、会いたいと言ってくれるから。
私の足は、痛くない。